世界が広がったあの日
四日市西高校 設楽道子
なんだろう、今思い返すと、夢のような3日間だった。
だって、たった3日間だけだったのに、夏休み全部を使いきってしまったくらいの感覚があるから。それは、ぎゅっと凝縮された充実感と、夏休みが終わってしまった後のなにかさみしいかんじとにてるから。
本当は、ワールドユースミーティングに関しては、あまり関心も意欲もなかった。ただ英語で発表をして、まぁ、ちょっと交流をするんだろうなぁ、という程度だった。でもホントのところ、そんなもんじゃなかった。出会いとか、通じ合おうとがんばることが言葉にとらわれない結びつきを生むんだなって初めて気づいたから。私は、この時初めて自分と同じくらいの年の外国の女の子と友達になった。彼女の髪は、きれいなブロンドで、鼻が高くて、「おー、がいじんだ。」何てはじめはそんなことを思っていた。同時に私は、あの子と話がしてみたいなと思った。今考えると、何でそんな勇気と思い切りがあったのかな、と自分でもびっくりする。(現時点、流ちょうに英語を話す力は私にはないのに。)
それでも何とか、「Hi! I’m Michiko !」から始まって、中学校の文法を頭から振り絞って短い文で少しずつ少しずつ伝えてみた。一生懸命だった。自分の気持ちをどうしたら伝えられるか。時には、すらすらと英語が出てこない自分が歯がゆかった。でも彼女は優しかったから理解できるまで静かに聞いていてくれた。なんだか国の違う彼女たった一人と友達になっただけなのに、自分の中の世界が広がったような感じがした。当たり前のことだけれど、国が、言葉が違っても、友達になれるんだなぁ、と。
あの3日間の中で、『変な感覚』に包まれることがあった。それは、自分が突然英語まみれの世界に飛び込んだためだった。アメリカ、ドイツはもちろんのこと、台湾の子もぺらぺら。どこへ行っても、英語、英語。もし、ここに英語嫌いの子がいたら、耳をふさいで逃げちゃいたいだろうななんて思った。あと、英語の先生いらずだな、とも思った。そんな中、ドンッとぶつかってきた子が私に「オウ、アイムソーリー」といって去っていった。その時は別に何も思わなかったのだが、実はさっきの子は日本人だったのだと分かり、感動した!とっさの言葉さえも変えてしまった環境。すごいっ。すてきっ。あの子はきっと言葉にとらわれる事を忘れたのだ、と。でも私も友達も同じくそうなりつつあった。初めは、友達同士でそんな自分の中の変化を恥ずかしがっていたけれど。
プレゼンでは、たくさんの人とカメラマンを前にしてとても緊張した。当日は、機械の調子が悪くて、自分たちの用意したすべてを終えることなく打ち切りになってしまって、すごく悔しい結果になってしまった。しかしそれも今となっては、思い出だ。みんなに浴衣を見てもらいたくて、前日の夜、ホテルで浴衣の着方を練習した。女の子三人、「あーじゃないこーじゃない」言いながら。楽しかったな。私は、すごく不器用なので本番でうまく着られるかどうかすごく心配だった。それでも何とか、二人に手伝ってもらって(だいぶ)着ることは出来たのだが、日本文化とはいえ、着慣れてないものだからかなり歩きにくかった。普段より100倍おしとやかになれたけれど。
伊勢参りでは、ドイツの女の先生と仲良くなれた。興味があったので、「これはドイツ語で何というの?」とあれこれ聞いてみた。私たちが先生のまねをしてへんてこなドイツ語を口にしていたら、近くにいたドイツ人の女の子が、おかしそうに笑っていた。私たちも聞かれていたとは知らず、一緒に笑ってしまった。すごくいい時間だった。
しかし、伊勢バスツアーももう終わりにさしかかると、「もう終わっちゃうんだね。」とか友達としみじみつぶやきあってしまった。すごく楽しかったから。いろんな人とあえたから。今まで狭かった自分の視野が広がって、たくさんのことを学んで吸収して考えている自分がいたから。
思い出すことは、全て貴重な体験であったと心からそう思う。最後に、この機会を与えてくださった皆さん、縄づくりで仲良くなるきっかけを作って下さった皆さん、最高なおみやげになったTシャツを徹夜近く作ってくださった皆さん、本当にありがとう!!