Worlds2000 Germany

世界選手権大会について

アルティメットの世界選手権は、一年ごとにクラブ選手権と国別選手権が行われ、今年2000年にはドイツで国別選手権大会が行われる。参加国はおよそ15カ国(女子8カ国)。ナショナルチーム同士で競われる国別世界大会には、日本チームは選考会を経て選ばれた代表メンバーを派遣する。国内では敵同士でありながら世界戦ではチームメイトとして各国の競合と対戦し、ハイレベルな戦いに挑む。

クラブ選手権大会

1991年 トロント(カナダ)

  • 優勝オープン:ニューヨーク・ニューヨーク(USA/NY)
  • 優勝女子 :マニアックス(Mainiacs)(USA/SF)

1993年 ウィスコンシン(アメリカ)

  • 優勝オープン:ニューヨーク・ニューヨーク(USA/NY)
  • 優勝女子 :マニアックス(Mainiacs)(USA/SF)

1995年 (イングランド)

  • 優勝オープン:ダブル・ハッピネス(Doubble Happiness)(USA/SF)
  • 優勝女子 :レディ・ゴダイバ(Lady Godiva)(USA/Boston)

1997年 バンクーバー(カナダ)

  • 優勝オープン:サカイ(Sockeye)(USA/Seattle)
  • 優勝女子 :ウィメン・オン・ザ・バージ(Women on the Verge)(USA/Portland)

1999年 セント・アンドリュース(Scotland)

  • 優勝オープン:ドッグ(Death or Glory)(USA/Boston)
  • 優勝女子 :ウィメン・オン・ザ・バージ(Women on the Verge)(USA/Portland)

クラブ選手権大会には、各国に定められた出場枠の中から全部で40チーム余り(オープン)のクラブチームが参加(全部門を合わせると100チーム以上)。出場枠は前年の国別大会の各国の成績から決められる。毎年上位に顔を出すのはアメリカのクラブチームで、アメリカのレベルの高さと層の厚さを感じさせる。 1999年の世界大会では、初めて欧州のクラブチームが決勝に残り(Liquidisc(Finland))注目されたがDoG(USA)の前に18-20で惜敗した。ベスト8の中の6チームがアメリカのクラブで占められた。日本の単独チームが世界の強豪と戦う数少ない機会であり、プレーだけでなくその雰囲気やパーティなどからもアルティメットの魅力を存分に感じることができる。

国別選手権大会

1992年 宇都宮(日本)

  • オープン/ 1位:カナダ 2位:スウェーデン 3位:日本
  • 女子 / 1位:日本 2位:スウェーデン 3位:

1994年 イングランド

  • オープン/ 1位:アメリカ 2位:スウェーデン 3位:カナダ 5位:日本
  • 女子 / 1位:アメリカ 2位:スウェーデン 3位:カナダ 4位:日本

1996年 ヨンショピング(スウェーデン)

  • オープン/ 1位:アメリカ 2位:スウェーデン 3位:フィンランド 4位:日本
  • 女子 / 1位:スウェーデン 2位:アメリカ 3位:日本

1998年 ミネアポリス(USA)

  • オープン/ 1位:カナダ 2位:日本 3位:アメリカ
  • 女子 / 1位:アメリカ 2位:日本 3位:カナダ

日本の成績は、過去オープンが2位(1998年)、女子が1位(1992年)が最高。 日本のレベルが世界に対してもひけをとらないことをしめしている。小柄でスピーディなプレースタイルは欧州やアメリカのプレーからは異質だがレベルは非常に高い。 オープンのトップチームは、アメリカ、カナダ、スウェーデン、フィンランド、これに日本が加わる。アメリカとカナダが頭一つ抜けている印象だが、他の国のレベルは均衡している。 日本は前回準決勝で初めてスウェーデンを下して決勝に進出したが日本のアルティメット界においても大きな一勝であった。ただし、このスウェーデンはカーネギーというクラブチームが単独で代表チームを結成してきたもので、96年のように各チームから選抜したフル代表で参戦すると手強い。フィンランドも99年クラブ選手権で決勝に進出したことからもわかるようにレベルは世界トップクラスでありあなどれない。他にも、ドイツ、イングランド、オランダ、オーストラリアなども高さがあり力強いオフェンス力を持っているので日本は厳しい戦いを強いられることになるだろう。

 

 

Worlds2000

日本代表前回男女アベックで決勝に進出した日本代表だが、今回もその中心メンバーは残っている。特に女子は前回とほとんど同じメンバーにさらに走力のある若手を加えて期待が持てる。オープンは前回とはオフェンスのメンバーが異なり、現在もまだ固定されていない印象があるが、過去最高とも言える強力なディフェンスチームを擁し各国の力強いオフェンスにどう対抗していくのか楽しみである。

  • オープン:前回の若手が今回は中心となっている。94年にデビューした日体大のメンバーも今回で4回目の世界戦になりベテランの域に達してきた。これまでは全体的に日本体育大学出身者、学生が主力であったが今回は明治出身者が増えた。オフェンスがまだ固定されていない感があるが、ディフェンスの強さ、層の厚さはこれまでと比してもひけをとらない。欧州はスローテンポでオープンスペースを広くとったフォーメーションオフェンスが主体で、日本のディフェンス陣がどう対応するのか見もの。ロングレンジのミートも日本では見られない距離で、身体の大きさを活かして前をとらせないうまさと強さを兼ね備える。日本はスピードでハンドラーを抑え、マンツーマンを主体に守るべきだろう。ネックになるのはマーカーで、身長190cmを超える大型選手に対してマーカーが足でプレッシャーをかけられないとディフェンスは苦しくなる。オフェンスは、世界に通用するスピードでこれまでも安定した力を発揮してきたが、今回はまだメンバーが固定されていないこともあり不安が残る。ハンドラーは吉川(バスバレッズ)が中心となり、バズバレッズのチームメイトである宮部、舘洞、西浦が組む形が経験も豊富で安定しているが、ミドルは那須(バズバレッズ)とペアを組むのが誰になるかがキーになってくる。この中に若手がいかに自分の役割を発揮していくのかがチーム力を上げるうえでとても重要だ。前回苦しんだゾーンへの対策も重要であろう。 世界戦では、相手のミスが非常に少ないので、一回のターンオーバーで点を取れる得点力が求められる。ディフェンスチームのオフェンス力が一番の鍵になってくるだろう。
  • 対戦相手で注目すべきはアメリカ。昨年クラブ世界選手権を若手中心のメンバーで優勝し,UPAでも6連覇を達成したボストン(Death or Glory)が単独チームで出場する(アメリカ代表は前年度のUPA優勝チームが代表権を持つ)。90年代のアルティメットをリードしてきたベテランにとってはこれが最後の世界戦になることは間違いなく、98年にカナダに敗れた雪辱を期して気合を入れて臨んでくることだろう。今回は、スティーブ・ムーニー、ジェイ・シーガー、ジェイ・ワトソン(ビッグフォード)、コーク(オープンを引退)、といったスター選手が出場しないが、ブラウン大学をUPAカレッジ優勝に導いた99年全米カレッジ最優秀選手であるフォーチュネット・ミューラー、ミューラーとコンビを組むジャスティン・サフュディーの二人が中心となりチーム力は落ちそうにない。二人は昨年UPAファイナルにデビューしたが、決勝戦での得点のほとんどに絡み、すでに全米で最高の選手であると言われている。誰がフォーチを止めるのかが、そのままどうやってボストンのオフェンスを止めるのかになってくるだろう。彼を止められる選手がいればボストンに勝てる可能性が出てくるがマンツーマンで彼を完全に抑えることはほとんど無理であろう。ボストンの強さは、個人の能力を最高に発揮できるようにすることにあり、フォーチがオープンスペースを自由に使えるように他の選手がほとんどオートマチック対応することであぶなげないオフェンスをすることができる。ポーチしたとしても他の選手の対応が速いので逆に簡単に点を取られることになる。
 
  • 女子:女子はこれまでも世界戦では安定した戦いで常に上位をキープしている。今回もこれまでの主力がほぼ残っており、経験がものを言う世界戦で大きな力になることは間違いない。特に98年の決勝戦でアメリカに差をつけられた思いもあり、今回は前回以上の結果を出すためのモチベーションも高い。 90年代前半から日本のアルティメットを支えてきたメンバーはこれが最後の世界戦になる可能性も高く(今後は世界戦は4年に一度の開催になる)、最後に世界一になって最高の目標を達成したいはずだ。
  • 対戦相手で手強いのは、何といってもアメリカである。ただし今回のアメリカ代表チームはこれまでの中でも一番組みし易いと思われる。UPA(全米選手権)で常に圧倒的な強さを誇ったボストン( Lady Godiva)が昨年のUPA Nationals準決勝でSchwaにまさかの敗退。Vergeも準決勝で敗退し、今年代表権をとったのは結局サンフランシスコ(Fury)になったのである。 Furyについては日本ではほとんど知られていないが、UPAカレッジで常に上位をキープしているスタンフォード大学の選手が中心になっており、Felix(旧Mainiacs)の選手がベテランでチームを支えている。ただしチームは若手が主体なので乗ると怖いがミスも多く、つけいる隙はある。またチームの大黒柱であるグロリア・フィリップス(Godiva-Felix-Fury)は今年サンフランシスコからボストンに移ったので世界戦に出場するかは微妙。日本がオフェンスで確実にリズムをつかめればチャンスは大きい。